2021年7月6日火曜日

【京都ハンナリーズ】2021-22シーズン展望、移籍組の比較


京都ハンナリーズの2021-22シーズンロスターが確定しました。


5名の入れ替えがあったので、移籍選手の評価と2021-22シーズン展望を語ります。


1.移籍選手の評価

新加入(IN)、他クラブへ移籍(OUT)したのは、

 IN:鈴木達也、内田旦人 、秋山皓太、加藤寿一 、ジャメル・アーティス

 OUT:松井啓十郎、寺嶋良、石谷聡、大庭岳輝、レイヴォンテ・ライス

でした。


他クラブへ移籍した主力3名(ライス、寺嶋、松井)の変わりは誰か?、新加入選手について、解説します。


(1)レイヴォンテ・ライス

ライスは、新加入のアーティスで変わりがきくと考えています。


ハイライト動画で確認しただけですが、アーティスはマブンガのようにオフェンスが多彩で、3ポイントメインにポストプレイ、アイソレーションをしかけるスキルを持っているからです。



(2)寺嶋良

寺嶋の変わりは、スタッツ的に三遠から加入した鈴木が努めてくれるでしょう。


スラッシュ力とリング下のフィニッシュ力は寺嶋の方が上ですが、アシスト力やプレイメイク力は、鈴木の方が上です。


リーダーシップも寺嶋に劣らず鈴木も持っているので、問題ないです。



ただ、寺嶋は、地元洛南出身で、実力があり、イケメン、リーダーシップがあり、読書家で頭が良く、福祉事業に積極的で行動力があるだけに、フランチャイズプレイヤーで人気選手になれるだけの器がある選手。


過去から現在まで京都のチーム内の選手で明確な推しはいなかったのですが、寺嶋は継続的に推していきたいと思えた選手です、


スタッツ的には鈴木でカバー出来ますが、営業的な面での損失は、かなり大きいと思われます。



(3)松井啓十郎

松井は、オフボールスクリーンやハンドオフを上手にもらって、3ポイントを高確率で決めてくれました。


そんな松井の代わりとなる選手はいません。オフェンスの手札が減ったので、今シーズンのメンバーでどのように穴埋めするか、小川HCの腕の見せどころです。



(4)新加入

(1)~(3)で上がらなかった内田旦人 、秋山皓太、加藤寿一の新加入組は、いづれも前所属では控え選手。


年齢が若いので、今シーズンのステップアップに期待するしかないです。


ハイライト動画を見ただけですが、内田のドライブ力がチームにプラスになれば良いなと思いました。



2.2021-22シーズン展望

2021-22のロスターを下表にしました。



(1)オフェンス

通常のオフェンスは、ディフェンスとギャップを作って、パスやドライブでギャップを大きくしていって、フリーの選手にシュートを打たせるようにします。


ディフェンスとのギャップを最初に作れる選手をクリエイターと言います。



前シーズンでクリエイターとして、活躍出来ていたのは、

 ・サイモン(ポスト~ミドルレンジ付近でのアイソレーション)

 ・ライス(3ポイント付近でのアイソレーション、ピック&ロール)

 ・寺嶋(限定的な場面で3ポイント付近でのアイソレーション、ピック&ロール)

 ・松井(オフボールスクリーン、ハンドオフからのキャッチ&シュート)

です。



今シーズンにクリエイターとして、活躍出来そうなのは、

 ・サイモン(ポスト~ミドルレンジ付近でのアイソレーション)

 ・アーティス(全エリアでのアイソレーション、ピック&ロール)

 ・鈴木(ピック&ロール)

です。


寺嶋のドライブ力は貴重だったので、内田が変わりを務めてくれることを期待します。


松井の役割を出来る選手がいないので、全体的にオフェンスの起点作りの手札が減りました。




(2)ディフェンス

ディフェンスは、外国籍がライス(196cm)からアーティス(201cm)に変わったことで、

向上すると考えています。


前シーズン、ライスは外国籍選手のインサイドプレイヤーをディフェンス出来ないので、ビッグマンの永吉とセットで出場。

 

永吉は外国籍選手相手に十分に健闘していましたが、ミスマッチとしてスコアされていた点は、否めません。

 

アーティスであれば、3~4番相手にも守れそうなので、無理に永吉を出場させることがなく、ディフェンス面で選手の起用方法はバリエーションが増えそうです。

 

 

(3)まとめ

京都のロスターは、昨年からやや下がった程度の戦力です。


昨年度下位~中堅どころのチームだった島根や広島がビッグネームの補強をしており、他チームとの差はより大きく広がりつつあると思います。


2021-22シーズンも降格はないので、若手の成長を促しながら、戦うシーズンになりそうです。



ただ、本当の戦いは「2026年からの“NEW B.LEAGUE”」に向けて、クラブとして新B1,B2の入会基準を満たせるかです。


コロナ前の入場者数でも、新B2の基準2400名に足りないので、現在のままだと新B3に編入となります。


せめて新B2には残ってほしいので、入場者数も増えるシーズンとなることを期待しています。


【京都ハンナリーズ】2020-21シーズンのスタッツや戦術を前シーズンと比較・分析





京都ハンナリーズを9シーズン率いた浜口HCが退任し、2020-2021シーズンは小川HCが就任。


開幕4連敗でシーズン序盤は苦戦するものの、西地区8位(21勝36敗)、全体15位でフィニッシュ。


2020-2021シーズンの降格はありませんが、降格圏(17~20位)を回避できたので、新任HC&ロスター刷新を考えれば、及第点の成績と思います。


この記事では、

 1.2020-21と2019-20シーズンのスタッツ比較

 2.小川HCと浜口HCの戦術の違い

を書きます。


※スタッツは、Basketballnavi.DB から引用しています。




1.2020-21シーズンをスタッツを元にした振り返り

(1)チームスタッツ

・ペース





攻撃効率を表す(値が大きいほど早くシュートを打つ) ペースは、ほぼ同じ。

少し遅くなっているのが以外でした。



・シュートレンジ


シュートレンジで大きく違うのは、OP(ペイント外※)のアテンプト数です。

※ペイント外は、ペイント外の3ポイントを除くシュート数


小川HCは積極的にミドルシュートを打ちにいっていました。詳しくは戦術違いの2章で説明します。



・アシスト



アシスト数は減りましたが、ターンオーバー数も減りました。

パスの回数が増えるほどターンオーバーも増えるので、妥当な数値と思います。


2019-20はマブンガが、1試合平均8.7アシスト、4.4ターンオーバー。

2020-21、マブンガは移籍し、加入したライスが1試合平均2.7アシスト、1.5ターンオーバーでしたので、二人の影響が大きくチームスタッツに表れています。






2.小川HCと浜口HCの戦術の違い

小川HCは、浜口HCと違いトレンドの戦術を採用することが多かったです。


(1)オフェンスオプション

オフェンスのファーストオプションは、

 小川HC:ピック&ロール(ポップ)

 浜口HC:ポストプレイ

の試合が多かった印象です。


ポストプレイで攻めきれる日本籍選手はあまりいませんが、

ピック&ロール(ポップ)のハンドラーであれば、日本籍選手でも一応務まるので、

小川HCのシーズンは、日本籍選手が攻める機会が増えたと思います。

 

 

(2)ピック&ロール(ポップ)に対するディフェンス

ピック&ロール(ポップ)に対するディフェンスは、

 小川HC:アイスを使って、サイドにボールマンを追い出す。スイッチもそこそこ使用する。

 浜口HC:ショウディフェンスで、スイッチせずに守る。スイッチの使用頻度は低い。

でした。


守り方もかなり変わりましたね。


小川HCのシーズン序盤は、アイスでサイドにボールマンを追い出すも

逆サイドからヘルプが来ないことがそこそこあり、残念感がすごかったのですが、

シーズン中盤以降は、徐々に改善されていきディフェンス強度も上がりました。

 

 

(3)エースに対するディフェンス

 小川HC:アイスディフェンス中心で、たまにダブルチーム

 浜口HC:必要に応じてダブルチーム


小川HCは、ピック&ロール(ポップ)とエースに対するディフェンスで、

アイスを優先的に使用していました。

 

チームの決まり事がシンプルになるので、新チームとしては良かったかもしれません。

 

 

(4)シュートレンジ

 小川HC:ミドルシュートも積極的に打つ

 浜口HC:ゴール下or3ポイント中心


スタッツでも紹介しましたが、小川HCはミドルシュートを意識して打たしていました。


一般にペイント内、3ポイントラインはディフェンスが厳しく、

得点効率が低いミドルレンジのディフェンスは比較的緩いです。


打たしてくれるミドルシュートを打つことで、オフェンスの選択肢を増やしていました。





3.まとめ

2020-21シーズンは、前シーズンからロスターとヘッドコーチが変わり、スタッツや戦術に大きな違いがみられました。


2シーズン目となる小川HCが、どのように戦術をステップアップさせるか注目したいと思います。